中奥川・戸倉谷



1 概要    
 中奥の戸倉谷は、中級者のトレーニングには絶好の谷であるだけでなく、水量は少ないが登り方によっては上級者も十分に楽しめる谷である。 通常の水量ならすべての滝を直登できる。
2 記録
 これまでに6回ほど溯行した。
   95年8月の私の報告

同行者の報告は
   obaさんの報告=http://oba.ducub.com/yama/yama_sawa_etc/2003/tokuradani/tokuradani.html
   KUROさんの報告=http://sawayuki.org/houkoku/daikou/tokura0309.htm

 ザイルは必携、登攀具は使い方の練習もかねて、各種を持っているほうが良いと思う。
3 ガイド
 通常は、前夜発で中奥川に車で入り、トンネルの手前の砂防堰堤上の広い河原で酒盛りをして前夜を過ごす。 核心部の短い谷なので、大阪市内で早朝に集合できれば、当日の朝発でも間に合うだろう。
 翌朝は少し戻り、堰堤の下流の踏み跡から本流を渡り戸倉谷へ入渓する。小滝を二つほど越えると左から悪い滝が入る。この滝の右岸の岩稜はハーケン連打の人工で登れないことはないが、安易に取り付けるものではない。直登には2時間ほど見なければならない。通常は右岸を巻くことになる。この巻き道は、かつては非常に悪かったが、今では左から壁の下のバンドを使って巻くルートができあがっている。それでも、抜ける所は結構悪いので、アンザイレンしておいたほうがよい。 巻き道の選定を誤らなければ、浮き石の多い斜面を下って滝の頭に出る。この先で谷は左折する。ここは、以前は深い淵になっていて、泳ぐしかなかった。左岸のスラブをトラバースで越えることもできるが、ここで落ちない人は相当に優秀であり、たいていは落ちる。しかし、今では淵が埋まり、泳がずとも右岸に沿って通過できる。ただし、深いので、濡れ方は泳ぐときと大差はない。深いときは、左岸から右岸へ泳いだ。
 この上は美しいトヨ状の連瀑である。ここの出だしは白い岩、泡だつ流れ、実に美しい。初めてこの谷を登った時に、朝日をあびて中央突破した仲間の姿は脳裏に焼き付いている。上部はホールドが細かくなり、自信がなければ右岸を巻き気味に登る。
 その上に、20mほどの滝。ここで、ハーケンの信頼度とか、どんなビレイがどんな場所で適合的かとか、一応のメンタル・トレーニングをするのが良い。この滝は見た目が悪い割には容易に登れるので、トップをやる人間にはオイシイ所だ。ただし、ランニング用にハーケンと小さめのナッツが必要である。自信がなければ左岸の藪付きの岩稜をモンキー・クライムで登る。木がしっかりしているので、ランニング・ビレーを丁寧に取れば大丈夫である。ザイル・ピッチでは25m以上になる。ここも、登攀力のあるパーティーならば右岸よりの壁をフリーで登れるが、普通の人には勧められない(ランニング用のハーケンは数本必要)。
 この上で2段35mほどの滝。ここは、右岸を手前から巻くルート、左岸に入る支流の滝を登って高巻くルート、滝の右手を少し登り、落水の裏側を瀑水を浴びて左岸から右岸へトラバースするという三つのルートがある。左岸支流からの巻き道はうまくルートがとれればが多少は容易であるが、それでもザイルを出したほうがよい。右岸手前からのルートは私は登っていないが、登った人の記録では悪場はないようである。
 おすすめは、滝の裏を右岸へ渡るルートであり、それほど難しいわけではない。しかし、かなり水を浴びるので、水量が多ければもちろん不可だし、沢慣れしていない人はカルチャー・ショックが大きいので止めておいたほうが良いかも知れない。
 この上のスラブは、なかなかに気持ちの良い所だ。明るいスラブの左右に水が滑るように落ちている。フリクションを効かして登ることができるが、ランニングを取りにくいので、上部で落ちれば40mは止まらない恐い所でもある。自信がなければ左岸の岩稜を巻くべきである。
 このスラブの終点に立つ滝は極めて難しい。右岸から落ち口への直登は、細い灌木でのランニングと自己の登攀力を信じて登ることのできる人だけのものである。ここは通常は左岸を下のスラブからまとめて4ピッチほど巻く。ザイルワークの良いトレーニングである。
 この先の大きな流木の詰まった左折点を過ぎると前方には吊り橋がかかり、遡行は終了である。ただし、好き者には、左岸の吊り橋をめがけて登るルートがある。左岸側から取り付き、たっぷりのシャワーを浴びて吊り橋のたもとにあがるルートが読めるはずである。これはそれほど難しくはないが、普通は「もう充分」と奥のルンゼから左に出ることになろう。
 釣り橋からの下山は、直に中奥を目指す道が早いが、廃道であり梯子の痛みがひどいので本当に恐い。上流側から林業の道を使ったほうが良いであろう。
4 溯行図
なし



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